うらみわびの【この本がおもしろい!】第6回
これは
「ヴァイオレット、愛している。生きてくれ」
主である陸軍少佐と
「わかりません、わかりません」
”兵器”として軍に登録された、心を持たない殺戮少女の物語……
「あいってなんですか?」
暁佳奈 著京都アニメーション(2016)
『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン(下)』
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勝手に評価表 | |
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ストーリー | ★★★★★ |
アクション | ★★★★★ |
感動 | ★★★★★ |
どんな話?
大陸戦争での掃討作戦により重傷を負ったヴァイオレット。
戦地で主であるギルベルト少佐から言われた愛の告白。
それは心を持たない彼女にとって受け入れることのできないものだった。
数か月後、一命をとりとめたヴァイオレットは病室で目を覚ます。
戦で両腕を失った彼女はエヴァ―ガーデン家の養子となり、新たな人生を歩むことになる。
新たな世界に戸惑いながらも懸命に生きるヴァイオレット。
それでも心のなかでは消息を絶ったかつての主を探していた。
主からの命令が欲しい。
命令がないなら、必要とされないなら自分は死んだも同然。
それでも彼女は生きることを選んだ。最後の命令が「生きろ」だから。
そんな彼女に無慈悲な知らせが届く。
「ギルベルト・ブーゲンビリアは死んだ」
感動作、ついに映画化!
これほど人を感動させる小説はあるでしょうか。
平成から令和にかけて激動の時代を温かく包み込む小説の下巻です。
下巻といってもメインストーリの下巻であって、本作は4部作となっています。本作はその第2作。
この物語のすごいところは、どこから読んでも内容が理解できて面白い! というところ。さながら連載漫画のようなストーリー構成と展開で読む人を惹きこみ離しません!
そんな『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』ですが、現在もいくつかの劇場で劇場版が上映中ですね。
この映画は内容はもとより映像美、音声美、そして悲劇の作品としても知られています。
製作は京都アニメーション。
忘れることの出来ないあの忌まわしい事件により映画の公開は延期。
さらに追い打ちをかけたのがコロナウイルスによる劇場の公演自粛。
そんな困難にさらされながらも力強く公開を続け、人々の心を打ち続ける本作品。
2020年12月5日時点で興行収入は20億円を突破!(参考1)
あの『鬼滅の刃 無限列車編』が2021年1月3日時点で346億円(参考2)ですが、公開されている劇場の数に圧倒的な差があるので、この『劇場版 ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』は十分過ぎるくらいの大ヒット作だといえます。
本作がメインデッシュ!
前作の上巻がストーリーの概観であるとすると、この下巻がストーリーのメインといえます。
- ヴァイオレットが自動手記人形になった経緯
- ギルベルト少佐はあの戦で何を想い決断したのか
- ヴァイオレットと郵便会社の仲間との出会い
- ヴァイオレットの成長と決意
舌を巻くのがそのストーリー構成。あらためて目次を見てみましょう↓↓
- 少佐と彼のすべて
- 少女兵と彼女のすべて
- 花婿と自動手記人形半神と自動手記人形
- 飛行手紙と自動手記人形 前編
- 飛行手紙と自動手記人形 後編
- ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン
ギルベルト少佐についての章にはじまり、ヴァイオレットの章が続きます。
ここで注目したいのがヴァイオレットを指す単語。
少女兵
↓
自動手記人形
↓
ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン
ここでも、心を持たない”兵器”としての彼女が人々を癒す人形(ドール)となり、最後にはヴァイオレット・エヴァ―ガーデンとして完成する、そんな道筋を予感させます。
感情を押し殺して仕事を続ける自動手記人形はどのようにして誕生したのか。
”兵器”として国を勝利に導いた少女にのしかかる罪の重さとは。
亡き主の亡霊を追う少女が歩む第2の人生とは。
あらゆる葛藤や自問、問題に触れながら展開されていく物語。
時には凄腕の自動手記人形。
時には冷静沈着な郵便会社の社員時には不安に駆られる少女 。
様々なヴァイオレットが顔をのぞかせながら物語は急展開を迎える。
内容といい、構成といい、非常に考え抜かれた作品です!
「愛とはなにか」。これを読めば新たなヒントが見つかることでしょう。
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