この本がおもしろい!

1981年答弁プラスαの議論へ 石破茂 著『日本人のための集団的自衛権』を読む

うらみわびの【この本がおもしろい!】

石破茂 著『日本人のための集団的自衛権』新潮社(2014)

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「集団的自衛権」を考える

 現在の日本の安全保障を議論する際にかかせないワードとなった「集団的自衛権」。「個別的自衛権」と対を成す言葉であるが、その定義や内容がなんとも難しい。

 日本の多くの人が集団的自衛権を意識するようになったきっかけは2015年の安倍政権における安保法制の議論ではないだろうか。当時学生だった私も連日報道される安保法制の議論を通して「集団的自衛権」というワードを知った。

当時の議論では、公海上のアメリカ艦隊が襲撃された際に日本の自衛隊は現状では米軍を助けることができない、というシチュエーションが例示されていた。

これは何ともセンセーショナルな内容だ、と私は思ったが、ここで重要なのは日本の領域における攻撃でない場合における他国への攻撃は「集団的自衛権」にあたり、現状の日本の憲法の解釈からすると日本は「集団的自衛権」を行使できない、という姿勢である。

はたして日本は「集団的自衛権」を行使していくべきなのか、行使するならば、どのような法整備・法解釈を行うべきなのか。先ほどの公海上の米軍の救出はほんの一例に過ぎない。私たちは今後起こり得るあらゆる事態に対処できる状態をつくらなければならない。

そもそも日本における「集団的自衛権」の議論は、「集団的自衛権」を「持っているのか」、「持っていないのか」という議論すら存在する。国連加盟国のなかで「集団的自衛権」の使用の可否を議論している国は「私の知る限り、日本を除いてほぼありません」というのが、筆者である石破茂氏だ。

安保法制の議論が沸き起こって6年が過ぎようとしている。世界の情勢は緊張感を増している。日本の安全保障を考える必要性はさらに高まっているように感じる。

憲法改正は必要ない

集団的自衛権の行使とは、具体的には自衛のための日本の領域外での武力攻撃を指す。日本が集団的自衛権を持っていることは国際的にみてもゆるぎないものであるが、日本は憲法9条で武力の保持を禁止しているため、武力行使はできない。したがって集団的自衛権は行使できない、というロジック。これは1981年の鈴木善幸内閣の五月二十九日の答弁を引き継いだ考え方といえよう。

1981年五月二十九日答弁書(鈴木善幸内閣)
「我が国が国際法上、集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法九条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどめるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超える者であって、憲法上許されないと解している」

これが現状の日本のスタンスである。つまり、集団的自衛権の行使を可能とするには憲法の改正が必要、というのが大方の見方となる。

対して集団的自衛権の行使を可能とするのに憲法改正は必要ない、というのは石破氏。第一に憲法が集団的自衛権が行使できない、とは読めないこと。第二にこれまでの日本の「自衛権」の憲法上の位置づけの議論を見ると集団的自衛権も政策判断で行使可能とできる、という考えだ。

本書は2015年の安倍政権における安保法制の議論の前に書かれた本である。安保法制の中身を詳細に見ると議論の余地は数多あるように感じる。そのなかで集団的自衛権の行使容認推進派として奔走した著者の考えが端的にまとめられた本書は日本の安全保障を考えるうえで一つの指針となるだろう。

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