この映画がおもしろい!

細田守 監督『時をかける少女』を見る

 未来の世界について

本作では千昭の口から未来の世界について語られます。どうやら未来の世界は人口が少なく面白みに欠けるそうです。この点ではウェルズの『タイムマシン』に通ずるところがあります。

この点が示すところは「人間の成長の限界点」である、と私はみています。技術の発展私たちの幸福という2つの軸で見たときにその最大値はあるのか、というのが1点。そして、もし最大値があるのなら、私たちはどの程度まで成長していけばよいのか、というのが2点目の疑問になる。

かつて私が大学の教授から聞いたのは、映画『デイ・アフター・トゥモロー』に出てくるエイリアンは実は未来の人間、という説。このエイリアン、めっちゃ強い戦闘機に乗ってるけど本体はワンパンなんです。つまり、技術の進化は人間の弱体化につながる、ということ。これは生物学的にみれば、パソコンをより早く扱うために腕が増え、移動手段が豊富にあるため足は弱体化する、といったように納得がいく。

しかし一方で、人間の幸福の観点から考えたときにこれで本当にいいのか、という疑問もわいてきます。私はなんともやるせない気がする。人間はある種、困難に対して挑戦している時に幸福を感じるのであって、その先の結果には幸福を見出さない動物だ。簡単にクリアできるゲームは面白くない。なんでも叶えてくれる存在は人間にとってはじつは不都合な存在なのではないだろうか

 失敗から生まれる幸せ

そう考えると、本作のタイムリープは興味深い。真琴は自身のタイムリープの能力をカラオケを無限延長したり、食べられなかったプリンを食べたりと幸福の為に利用した。しかし、実際には自分の他の誰かが犠牲になったり、人間関係がギクシャクしたりとうまくいかない。結果としてタイムリープはトータルで幸せになれる手段ではないのだ。

現実で考えるとそうだろう。タイムリープできる世界は言い換えれば「いつでもやり直しが利く世界」だ。仕事でも恋愛でも失敗したらやり直せばいい。でもそこには成長はない。成長は失敗から生まれるからである。

例えば、恋愛の場合、ある一つの行動がきっけかで別れる寸前まで行ったとする。そこで過去に戻ってまた新たに行動したとしても、本人がそこから学ばなければ何も進歩がない。どこかの未来でまた破局の危機が訪れるだろう。おそらく依然と似たような理由によって。

人間は創造性をもった生き物である。失敗を糧とすることができる。そして、失敗したとしても後戻りできない、という人生の絶対条件。それこそが人生に彩を与えてくれるのだ。長く続いたカップルは思うだろう。「よくここまで共にこられた」。そこには成功も失敗もある。破局のリスクだってある。それを総括して幸せなのである。

今日も皆さんが幸せでありますように

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