この本がおもしろい!

【恐怖】この家、何かが”変”!この違和感、あなたは気づけるか? 雨穴 著『変な家』を読む

うらみわびの【この本がおもしろい!】第13回

今回は身の毛もよだつ、こわーいお話を紹介します。

雨穴 著 飛鳥新社(2021)

『変な家』

変な家 [ 雨穴 ]

勝手に評価表
ストーリー★★★
アクション★★
感動

間取り図

まずはこの「ある家の間取り図」を見ていただきたい。

一見、何の変哲もない家の間取りであるが、この間取り……

見れば見るほど変な箇所が浮かび上がってくる!

入りづらい扉、窓のない子供部屋、不気味な謎の空間・・・

この物語の主人公である筆者はライターとして活動している。

ある日、筆者は不動産を購入したい、という依頼主から捜査を依頼される。

そのときに渡されたのが上図の間取り図である。

自然豊かで静かな良い立地に売りに出されている一軒家。

しかし、間取りをよく見ると不可解な点が多い。

いったいこの家では何があったのか……

様々な想像が膨らんでいく。

不自然な点と点が結ばれて線となったとき、驚愕の事実が浮かび上がってくる……

変と想像力

人間というのはなんとも警戒心の強い生き物だとつくづく思います。

自分では意識していなくても周りのことを警戒している。

何か不自然な点はないか」、「自らに敵対している者はいないか」。

外に出るとソワソワするのはそういった”警戒心”からだろう。

ある説によると、外でソワソワするのは、競争が激しかった狩猟時代の名残だとか。偶然出くわした見知らぬ人が敵か味方か。これが自らの生死を分ける大きな分岐点となる。だから私たちは相手の、とりわけ表情を読み取る能力に長けているのだとか。

それが転じてか、人間というのは疑い深く、研究心・観察眼に長けた生き物に映る。

本書では不動産の間取り図が舞台。見れば見るほどに不自然な点が見えてくる。それが「ぜ」なのかは釈然としない。しかし「どこか変」なのである。そう、「」なのだ。

それが気にならなければいいのだが、気になりだすと振り出しには戻れない。それも人間。

人間には”想像力”もある。「気になる」点をどうにか根拠立てて証明したくなる。そこで想像力が働いちゃう。意味が解らないと気持ちが悪いので、なんとかして着地点を探しちゃうんだよね。

例えばドストエフスキーの小説『罪と罰』なんかだと、主人公のラスコーリニコフは「高尚な理想のためなら下等な人間を殺しても罪にはならない」という持論の下、高利貸しの老婆を殺害するのだけれども、警察の捜査が進むにつれて、自らの理念が揺らいでいく。それに抗うように自らの理念を正当化していこうとする。その先にあるものとは……

結局のところ、”絶対の事実”や”信念”などというものは、なかなか存在しないのかもしれない。今日信じていたことが、明日起きてみたら疑いに変わっていることもある。そんな不安定な毎日が人生というものなのかもね。

”からはじまり”想像力”で広がる世界。

心霊現象の類はこの心理を利用したものが多い。果たして本書は……

キレを生むリズム感

本書は読み口がいい!

間取り図を切り口に謎が謎を呼ぶ。

そのリズムがまたいい。息をつかせる暇なく物語は進行していく。ドキドキがとまらない

その秘訣がナレーションの不在にある。本書の文章は登場人物のセリフが主である。状況説明や風景の描写は皆無だ。時折筆者の憶測が入るが、その他はセリフが続く。

このシンプルな構造が文章にいいリズムを生み出している。憶測と事実が淡々と連なっていく。

そこから何をくみ取るのか。それはあくまでも読者の私たちにゆだねられているのだ。そのある意味での”自由さ”もまたいい。読者に解釈の余地を残しているのだ。

私が語れるのはここまで。後は本書を実際に読んで実感してみてほしい。

今日も皆さんが幸せでありますように

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