うらみわびの【きょう考えたこと】第29回
(この記事は2020年12月に書かれたものをもとに、追記をしております)
fripSideはアニメ界を引っ張る有名なアーティスト。
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その名曲といえばやはり『only my railgun』!
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アニメ『とある科学の超電磁砲』のオープニング曲としてリリースされたこの曲は発売後、
〇週間オリコンチャート 第3位(※)
〇アニメロミックス2010年度年間ランキング着うたフル部門 第1位(※)
〇2014年キャラペディア「もっとも心に残っているOP・EDの名曲」 第1位(※)
〇2015年キャラペディア「もっともテンションが上がるアニソン」 第1位(※)
〇2015年アニメ!アニメ!「好きなアニメ作品のオープニング」 第1位(※)
※Wikipediaより
と華々しい人気を博しています。
突然の脱退
fripSideの現在のボーカルは南條愛乃さん。
fripSideの他にもアーティストとしてのソロ活動や声優としてマルチに活躍されている方です。
そんなfripSideですが、現在は活動の第2期に当たります。
実は南條さんの前のボーカルがいることをご存じでしょうか。
それがnaoさん。
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2002年~2009年までの第1期fripSideを引っ張ってきたボーカルです。
naoさんの魅力は歌唱力!
なかでも高音ボイスは1級品!彼女特有の透き通った歌声が持ち味です。
第1期fripSideはゲーム音楽を中心にヒットし、その線では有名になります。
その最中のnaoさんの脱退は突然でした。
何が原因か?
naoさんの突然の脱退は多くの憶測を呼んだそうです。シンセサイザーのsatさんとの不仲説や恋愛説など、実際のところは明らかにされていません。
しかし、naoさんの脱退後に期間限定のユニットとしてfripSide NAO project!!を結成したり、fripSideが結成10周年の節目に発売されたアルバム『Decade』における同名の曲では、なんとnaoさんと南條さんが共演しています。
どうやら不仲説はないようです。
ちなみにこの『Decade』。少し長めの楽曲ですが、途中に過去のfripSideの曲が組み込まれていて、
南條さんが『red -reduction division-』(naoさんの代表曲)
naoさんが『only my railgun』(南條さんの代表曲)
のサビの一説を歌う、というなんとも粋な演出!
ファンとしてはたまらないです!
では、何がnaoさんの脱退の決め手となったのか。私は音楽の方向性の違いではないか、と考えています。
事実、fripSide時代のnaoさんは主にバラードやカッコいい系の曲を歌っていました。
fripSide脱退後のnaoさんの曲はいわゆる電波系といわれるジャンル。カワイイ系の曲が増えました。
fripSideのコンセプトは、シンセサイザーを活かした現代にマッチしたテクノミュージック、なのでnaoさんの歌いたい曲とは方向性が異なっていたのかもしれません。
自分を大切にした
naoさんのfripSide時代の曲は名曲ぞろい。カッコよくて、切なくて、本当に好きです! もしかしたらfripSideで活動を続けていたほうが成功を収めていたかもしれません。
しかし、彼女はそれを選ばなかった。その理由がもし音楽の方向性の違いであるならば、私は彼女の選択は勇気あるものだったと思います。
目の前の可能性の高い成功を振り切って、自身の生きたい方向へ進んだ。そんな彼女の選択は並々ならぬものです。実際、fripSide脱退後のnaoさんの知名度はそれほど上がっていないかもしれません。それでも現在のnaoさんの楽曲の方が心なしか活き活きとフリーダムに歌っているように感じるのです。「今、私は自分の歌いたい曲を歌っている!」そんな声が聞こえてくるようです。
誰のための人生か
人生とは選択の連続です。そのなかで成功を収めたいのはもちろん、リスクをとらずに安定していたい、と思うのも自然な気持ちではないでしょうか。
しかし、そんな安定志向のなかで自己の本来やりたいものが見えなくなってきてしまっては本末転倒です。私たちの人生の目的はシンプルにひとつ、【幸せになること】だと考えます。私たちは本来、自由にやりたいことをやるべきなのです。
しかし、社会で生きていく中で私たちは協調性を求められ、人生の成功は報酬が基礎基準ですから、他者からの評価が付きまといます。
殊に芸術の世界では、マニアックなものを追求するよりも大衆ウケする作品を世に出したほうが成功しやすい、というのは事実でしょう。ここに芸術家の葛藤があるように思います。
仕事と趣味は分けろ、という考えもあります。お金を稼ぐためにはとにかく余計な自己は切り捨て、評価基準である他者を大切にしろ、という考えです。これは一理あります。
しかしながら、芸術のように仕事と趣味の境界が曖昧な分野もあります。そこでは自らが表現したいものがいつまで経っても評価されずに苦しんだり、本来表現したいものではないものが評価されたりして己のセンスに疑いをもつことがあります。ここで芸術家は考えるのです。自己を変えるか・変えないか、と。
これは換言すれば「自分を信じるか・信じないか」ということになります。できれば自分を信じてあげたいものですね。私はそう思います。たとえ今、結果が出ていても、出ていなくても、今、自分がやっていることが本来のやりたいことでないなら、いずれはその環境を離れたほうがよい、と考えます。
魂を吹き込む
作品とは器。「見た目」という表面上のものだけでなく、そこに「魂」がこもってはじめて作品は命を得るのです。そして「魂」を作品に吹き込めるのは作者しかいません。もし作者と作品との間に心の溝があれば、真の意味において作品は完成しないでしょう。だから作品の表現者としての作り手は自らが作りたいものを作るべきなのです。
一人、例を出すとすれば、作曲家の新垣隆さん。彼はかつてある作曲家のゴーストライターとして活動していましたが、それが明るみに出てからはソロとして表立って活動しています。新垣さんのゴーストライター時代の曲が名声を浴びたのはもちろんですが、彼がオープンに活動している現在の方が伸び伸びとしていて、なにより【幸せそう】。彼は現在の方が自身の内外ともに成功している、といえるでしょう。
naoさんも自身のやりたい道に進んだという決断をきっと後悔してはいないでしょう。彼女のこれからの活躍にファンの一人として期待しています。
今日も皆さんが幸せでありますように