きょう考えたこと

「正義」ってなんだい

この記事を執筆している日、久々に空は晴れ渡った。家にいる魚たちも心なしか元気に見える(特にタニシ)。思えば日本は「雨の国」と呼ばれている。Yokohamaタイヤのホームページによると、日本の年間降水量は1690㎜と世界の平均(810㎜)の約倍にもなる。雨の日があるからこそ、晴れの日がうれしいのかもしれない。ということで、うらみわびの「きょう考えたこと」第3回、やっていきます。

まずは、最近起きた2つの事件を紹介する。

①「営業するな」店に張り紙

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言後も営業を続けた飲食店に「営業するな!」などと張り紙を下として、警視庁巣鴨署が今月20日、東京都豊島区職員の男(63)を威力業務妨害容疑で逮捕していたことが分かった。22日に釈放され、同署が任意で捜査している。

 巣鴨署幹部によると、男は、(中略)調べに「コロナへの恐怖心から間違った正義感でやってしまった」と容疑を認めている。

(読売新聞 2020年5月23日朝刊)

②カナダ・トロントで4月23日に起きた、歩行者がバンにはねられ、10人が死亡した事件。逮捕された容疑者は「インセル」についてネットに書き込みをしていたとされている。

インセル運動とは 

まずは、インセル運動についてみていく。インセル運動はInvoluntary celibate運動の略語で、「不本意な禁欲主義者」と訳される。ネットを主な情報の媒介手段として用いており、女性に対して不満や憎悪を抱いている人々が集まっている。

 インセル運動の参加者には特徴があるようにみられる。それはそれぞれがかつて女性関係においてうまくいかなかった、という苦い経験をもっており、それ故に女性たちに対して反感をもっているのだ。彼らの主張の一部を以下に記す。

  • 自分がモテないのは女性のせいである
  • 女性は私たちにひどいことをする
  • 私たちは生まれつき、遺伝子のレベルで劣っており、社会において平等という価値観のもとに差別されている

等々

これらは彼らの主張のほんの一部であると思われることには留意していただきたい。

 私はここでインセル運動の思想の良し悪しを語るつもりはない。人を殺すということはどんなことがあっても許されない、とだけ申しておく。

正義の取説

 さて、①、②両方の事件に共通するのは両者とも、加害者はある1種の信念のもとに犯行を行っている、という点である。それは正義という名の信念だ。

 「正義」というものはおそろしいものである。なぜなら正義はそれ自体が新たな行動の動機となってしまうからである。過ちを正すのが正義であり、自らを律するのが正義であり、自らを守るのも正義である。どれも自らにとっては「正しいこと」なのであろうが、「正義」だからと言って他者を傷つけてもいいのかである。1に「過ち」とは何か、自分が思う過ちは万人が過ちと認めるものなのか、第2に自らの主張は万人を支配するほど絶対的なものなのか、第3に自分が少数派だと言い張っているが、万人があなたのことを攻撃しているのか、目の前にいる人は、あなたが「正義」を振りかざしていい人間なのか、よく考えて我々は行動しなければならない。

 ネットで「我々ひとりひとりが『自分』という宗教の教祖なのである」といった趣旨のことをいっている人がいた。私はその意見に大いに賛同する。私たちは個人では弱い。自らを維持するためにそれぞれの「正しさ」、思想を持たなければならない。思想は千差万別だ。個人という単位では、それぞれに優劣はつけられない。それぞれにそれぞれの思想が必要であり、比較対象がいないからだ。ただ、自らの思想を社会に、他者の思想にぶつける時には存分に注意しなければならない。思想は自由はだが、他者を傷つけることは自由ではない

 「正しさ」とは普遍的なものではない。歴史学の議論の数々に目を向けてみるとよい。「正しさ」をはかる尺度はその時々によって異なる。それをみる人々によっても異なる。「正しさ」とは普遍的なものではない。だからこそ私たちは「正義」を気を付けて扱わなければならない

 もし、これから行動を起こすとき、仮にその動機が「正義」ならば、その正義の本質を突き詰めて行動するべきである。「正義」が暴走して、取り返しのつかないことにならないように。

 最後に、ある人は言っていた正しく生きるより美しく生きなさい

今日も皆さんが幸せでありますように

#RPG #SF #いじめ #うつ病 #アニメ #エッセイ #オクトパストラベラー #ゲーム #スクエニ #ニーチェ #ファイナルファンタジー #ファイナルファンタジー4 #ファイナルファンタジー4 #フィクション #メンタルヘルス #リモート旅行 #京都アニメーション #人間関係 #人間関係の悩み #働き方 #単行本 #哲学 #夏 #孔子 #学校 #学習 #家庭 #小説 #幸せ #恋愛 #憲法 #憲法改正 #戦争 #政治 #教育 #文庫 #木村草太 #本が好き #正しさ #社会 #組織 #自分磨き #自殺 #適応障害 #集団的自衛権